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虹の彼方で
第11章 日曜の夜

「分かった……!」

一番苦手だった仮定法の文章。

最後に「理解力チェックね」と、ジョニー先生に問題として出されたけれど、先生が素晴らしかったおかげか、スラスラ訳すことが出来て。

訳した後に、「合ってるかな?」と不安そうにジョニーさんの顔を伺うと、眼鏡の奥の瞳を優しく揺らしながら「大正解」と笑ってくれたから。

もうね。

もう、感無量だよね。

大学合格したようなものデショ!

おめでとう美咲!

「美咲ちゃん、筋は悪くないと思うし。高校の英語って、基本的に中学の基礎を応用しただけだから、単語さえ覚えれば、もっと英語が楽しくなるよ」

浮かれてる私に微笑みながら、机の縁に浅く腰掛けたジョニーさんが眼鏡を外して目元を揉んだ。

「あ、すいません。椅子……!」

「ん? 大丈夫。次があったら、部屋の小さい椅子、持ってくるね」

折りたたんだ眼鏡のツルを、シャツの首元にひっかけたジョニーさんは、素の顔で私を見下ろして、笑った……!

わ……、美形…。

眼鏡をしてても整ってた顔は、眼鏡をとっても美貌満載だった……。

思わず何も言えずに固まっちゃった私に、ジョニーさんが瞬いてるんだけど、そのまつげの長さにさえ、私はときめいたりしてて。

「美咲ちゃん?」

「――――あ。は、……はい!」

「疲れた?」

「い、いえっ。た、た、楽しかったです」

「そう? 良かった。―――英語なら、そこそこ教えられると思うから、何かあったら声かけて構わないよ」

「ありがとう、ございます……。あ、あの」

「ん?」

腰を上げたジョニーさんに、なんとなく、もうちょっとだけ話がしたくて、気づいたら話しかけてた。

「今日は、その……車、ありがとうございました」

「あぁ……。うぅん、こちらこそ、可愛い女の子のファッションショーが見れて、役得だったよ」

「そんなこと」

「他の服も、今度、また着て見せてくれる?」

「も、もちろんです……」

なんだろ、本当に、この人、普通に、しれっと、女子が喜ぶことを言ってくれるんだけど、もしや、ホストなの?
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