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虹の彼方で
第13章 こんな夜も
「バスケ……かぁ」
チャプンと湯船に肩までつかりながら、翼のことを思い出す。
―――練習嫌いだけど、テクニックが凄いんだから!
―――他校の女子にもファンがいるんだよ?
彩乃の言葉に、ちょっと好奇心がそそられたりするのもあったり。
―――セカンド
「! 違う違う!」
何か、変なこと思い出したけど、でも、まぁ、うん…。
タクミがバスケするところを見てみたい……っていうのもある、かな。
翼に、こてんぱんにやられてる様子っていうのも、見たら面白そうだし!
よし。
カラスの行水スイッチ、入れよう!
湯船から出た私は、シャワーのコックをひねりながら、素早くシャンプーボトルを手前に引き寄せた―――。
* * *
お風呂上がり。
買ってきたくるくるドライヤーで髪を乾かすと、サラサラになった髪を指で確かめながら、私は急いで脱衣所を出た。
のんびりテレビを見てるマサさんが、声だけこっちに向けてくる。
「出たか? 美咲」
「はい!」
「コートに行くなら、一応、上着もっていけよ」
「……はい」
あ、バレてる。
「じゃあ、その、行ってきます……」
「おう。好きに行け」
手だけ振ってるマサさんに、見えないのに私も手を振ると、バスタオルを脱衣カゴに放り込んでから、一旦2階へあがった。
ジャージの上着をひっつかむと、ベージュのもこもこパジャマを、一応姿見で確認。
ナイトブラだから胸元も安心だし。あ、靴下、……よし。
おっけー、行こう♪
階段を降りると、シューズをつっかけて、私はクルルン荘の扉を開けた。
* * *
空の星が綺麗だな、なんて思いながら歩いてきた私は、坂を上がり始めて直ぐ、
バスケ独特のドリブルの音に気づく。
その音に導かれるように小道に入ると―――。
「わ……」
ライトアップされた小さなハーフコートに、自然と、目を奪われてた。