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虹の彼方で
第13章 こんな夜も
煌々と照らされた、緑のネットで囲われた空間で、4人とも、タンクトップ1枚で互いを睨み合ってる。
青いベンチが一つあるけど、そこに、皆の着てきた服が置かれてた。
あと、ペットボトルが4本―――、どれも、中身が半分か、それ以下まで減ってる。
「ワンショット!」
タクミの声に、双子君のどちらかがボールを胸前で静かにバウンドさせて、
ゴールへ向けて放り投げた。
綺麗な放物線……!
スパッ―――
一瞬、静寂が訪れたのかって思うくらい、その3Pシュートは美しくゴールポストの網を鳴らして……。
「……パス!」
タクミがボールを拾った瞬間、翼が、双子くんAの間をすりぬけかけて、バックステップで手をのばす。
そこにボールを投げようとして、もう1人の双子くんBを引きつけた瞬間、
ボールは、ワンバンして双子くんBの腕を潜り抜けた。
翼が横から凄い勢いで、ボールを取りに来る。
(早い……!)
見てるだけで鳥肌が立った。
そのままレイアップでシュートが決まる!
瞬間、双子くんBが身体を反転させて、ゴール下でジャンプして……
あ、ディフェンスが……
「リバーン!」
翼の声に、タクミが双子くんAの横から身体をねじ込むけど、着地直後に押し負けた翼の前に、双子くんBがいる……!
「あー、くそっ」
「翼、ディフェンス!」
「わかってる!」
双子くんBがボールを取ったことで、攻撃は、双子くんチームになる。
ちょっと遊んでる、というレベルじゃないよね、これ……。
たった数十秒で、呼吸すら忘れかけた私は、持ってたジャージを着ることも忘れて、
薄闇の中、立ち尽くしたままコートを見てた。
翼の瞬発力、フェイクの滑らかさ、ドリブルの確実性は見とれるほどだし、
タクミの判断力も圧倒的なんだけど、
双子くん達の連携が、流れるように美しすぎて、どうしても、あと一歩で、翼もタクミも点が取れない。
4人とも、フルコートを走り回ってるんじゃないかってくらい荒い息なのに、
双子くん達は、息が切れてるのに、余裕があるように見える。
冷静で、必ず勝機があるって信じてて。
それこそ、どこを崩せば勝てるのか知ってるような……。
まさに、双子ならではのコンビネーションで得点を重ねてる……。