この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
虹の彼方で
第13章 こんな夜も
4人とも、戦う姿が男らしくて、かっこ良すぎて、その場から動けないまま、
どれくらい時間が過ぎたんだろう。
「ちょい、休憩」とタクミが言う声に、私はハッとして、持ったままだったジャージを上に羽織った。
その動きに、双子くんが気づく。
「美咲さん?」
「?」
「美咲!」
皆が一斉に私の方を向く。
わ、どうしよ……。私、完全にお邪魔な感じ……!
とりあえず、手なんか振ってみたら、布網の継ぎ目をめくりながら、翼が駆け寄ってくる。
「美咲。いつからいたんだよ」
「あ、うん……」
「立ちっぱ、辛くね? あっちのベンチで良ければ、座ってく?」
「え……、いいの?」
「もちろん。てかまぁ、面白いもんじゃ、ねーかもしんねーけど」
照れ笑いする翼の前髪から、汗がポタッと垂れる。
「そ、そんなことない! 凄い、……楽しいよ」
「そ? あとちょいだけど、見てく?」
「うん……」
私の返事に、翼が胸辺りまで持ち上げた手で、人差し指をクイクイと動かして私を招いた。
網の中に入った私に、双子くんAが、一瞬怪訝そうな顔になる。
「十神さん、中は危険な気がしますが」
「じゃ、美咲に怪我させないってのもルールに追加な。……ベンチ中にしか無いんだから、しゃーねーじゃん」
あぁ、神経質そうな表情が出るのは夏樹君なのか。
分かってきた。
ベンチに座らせてもらって、皆の脱いだ服を適当に畳んでみる。
4人とも、汗だくになって楽しんでる。
なんとなく、汗の匂いがして、でも、そんな空気が、ますます格好いい気がした。
無言のままドリンクを飲みきったタクミが、片手でペットボトルを潰して、ベンチの下に置く。
「やるか」
「うす」
「はい」
翼と夏樹君が返事をして、春樹君だけは頷いている。
あれ?
春樹君、凄い……顔立ちが、何か、違う……?