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虹の彼方で
第13章 こんな夜も



「いったたたたた……」

「美咲!」

誰かの頭ごしに、かけよってくる翼とタクミの顔が見える。

あと、双子君の、どっちか…?

「平気?」

「え?」

至近距離で聞こえた声に、驚いて瞬くと、私に重なってた双子君が、振り向いて、私の顔を確認してるところだった。

「身体、痛くねー?」

「だ、大丈夫」

「わりぃ、パスミスだ」

その言葉使いに、春樹君なんだって分かる。

「うぅん、平気だよ。多分……」

「そっか。あ」

「え……」

身体を起こしかけた春樹君が、動きを止めて、私の口元を見つめる。

な、なに?

っていうか、触れている春樹君の身体が、燃えてるみたいに熱くて、なんだか、火傷しそうなんだけど…!

「ごめん……」

「? ッ!」

申し訳なさそうに呟いて、春樹君が私の口端に、そっと触れた。

途端、ピリッとした痛みが走る。

舌で舐めてみると、鉄さびみたいな味がした。

「あー……、切れちゃうことなんて、良くあるし。大丈夫だよ」

後ろに手をついて、私も上体を起こすと、立ち上がろうとした私の腕を、春樹君が支えてくれて。

その力強さに、また、驚く。

あれ……、っていうか、剥き出しの腕、すごい筋肉質……!

「美咲、どっか怪我した?」

心配そうに尋ねる翼に「なんてことないよ」と笑いながら、「ね?」と春樹君に同意を求めると、春樹君は、またいつもの感じの仏頂面に戻ってて「あぁ」と短く返事するだけだった。

もしかして、あれかな、すっごい照れ屋とかなのかな……。

分からないけど。

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