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虹の彼方で
第14章 思い、それぞれ
「流石、スポーツマン。気付くんだなぁ…」
なんて呟きながらベッドに腰掛けると、左の足首を改めて、そっと触ってみる。
触るだけだと痛くないんだけど、さっき回した時は痛かったんだよね。
これって、湿布とか貼った方がいいのかな。
そう思った時だった。
トントン、ガチャッ☆
「はい」と返事をする間が全くないリズムで扉が開いたかと思うと、
小さなボックスを持った春樹君が、無言のまま部屋に入ってきた。
そのまま、私の足の前に座り込むと、「診せて」と足に触ろうとする。
「ちょちょちょ、ちょっと、待って!」
「?」
言葉の通りに、ピタッと動きを止める春樹君に、もう、どこから突っ込めばいいんだろうと思いながら、とりあえず、彼の目的を確認しようとする。
「診て、くれるの?」
「……痛みが出たら必ず言えって、言った」
「あ」
昨日の言葉を繰り返す彼に、「や、でも……違うかもしれないから」と笑うと、首を傾げられる。
「違うかもしれないけど、そうかもしれない」
うっ……、まぁ、たしかに……。
「診せて」
そう繰り返してから、手を伸ばしかけて、彼は一度私を見上げる。
男の子に言うのは変かもしれないけど、シミひとつ無い綺麗な顔に見つめられて、変な感覚に私は自分から目を逸してしまった。
曇りのない眼差しって、こういうことを言うのかな。