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篠突く - 禁断の果実 -
第3章 本編三話 悪事千里を走る

「……孝哉、教室に戻りなさい。あんたには関係ないことだから」
「……姉さん、そういうのやめようよ。これ俺のせいでしょ」
「孝哉」
「……くだらない姉弟ごっこはいいからさぁ……委員長」
すぐ後ろで聞こえた河内のドスの利いた静かな声に、私は反射的に振り返った。弟に気を取られていて、近づいてきていたのがわからなかった。私の顎を、河内が乱暴に掴んで引き寄せる。無視をしようと決めた相手だが、どうもそれはできないようだ。
「その威嚇するような目、ゾクゾクするよ、委員長」
肌がぞくりと粟立った。初めて他人を気持ち悪いと思った。私は咄嗟に河内の腕を叩き落としていた。だがその直後、彼に平手で頬を殴られ、眼鏡が視界の隅に飛んでいく。
「姉さん!」
「おっと、ストップ」
立ち上がって駆け寄ろうとした孝哉に、河内が掌を向けて制止を促す。河内は、ドラマで人質にナイフを向ける犯人のように私を胸に抱き、ベタベタとした指の不快な感触を首筋に這わせていく。そうしてその指は下がっていき、ワイシャツのボタンを開ける。
「……姉さん、そういうのやめようよ。これ俺のせいでしょ」
「孝哉」
「……くだらない姉弟ごっこはいいからさぁ……委員長」
すぐ後ろで聞こえた河内のドスの利いた静かな声に、私は反射的に振り返った。弟に気を取られていて、近づいてきていたのがわからなかった。私の顎を、河内が乱暴に掴んで引き寄せる。無視をしようと決めた相手だが、どうもそれはできないようだ。
「その威嚇するような目、ゾクゾクするよ、委員長」
肌がぞくりと粟立った。初めて他人を気持ち悪いと思った。私は咄嗟に河内の腕を叩き落としていた。だがその直後、彼に平手で頬を殴られ、眼鏡が視界の隅に飛んでいく。
「姉さん!」
「おっと、ストップ」
立ち上がって駆け寄ろうとした孝哉に、河内が掌を向けて制止を促す。河内は、ドラマで人質にナイフを向ける犯人のように私を胸に抱き、ベタベタとした指の不快な感触を首筋に這わせていく。そうしてその指は下がっていき、ワイシャツのボタンを開ける。

