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篠突く - 禁断の果実 -
第3章 本編三話 悪事千里を走る

「姉さん! やめろ!」
私は豚達に向かってブレザーを脱ぎ捨てた。
視界の端でひとり、愛しい弟だけが顔を歪めている。――……ごめんね、孝哉。
「姉さん……お願いだ……お願いだから、バカな真似は……」
「……孝哉、あんたは教室に帰りなさい。お姉ちゃんの惨めな姿なんて、見たくないでしょう」
後ろのロッカーの上で胡坐をかく河内と向き合うように、私は教卓の上に座った。眼下の豚の集団が、「オオオオオオオオ!」と勝鬨のような鳴き声を上げる。
孝哉は俯いて唇を噛み締めた。――姉を守れない無力な自分が、情けない。
「……孝哉。私なら大丈夫だから」
「大丈夫なもんか! 姉さんはいつもそうやって……」
嘆く孝哉を見て、私は深く溜め息を吐いた。もう少し豚達を焦らしていたかったのだが、これ以上孝哉の悲しむ顔を見るのは嫌だった。最終兵器を持ち出すべく、私は彼に「おいで」と手招きしてその耳元で囁いた。
私は豚達に向かってブレザーを脱ぎ捨てた。
視界の端でひとり、愛しい弟だけが顔を歪めている。――……ごめんね、孝哉。
「姉さん……お願いだ……お願いだから、バカな真似は……」
「……孝哉、あんたは教室に帰りなさい。お姉ちゃんの惨めな姿なんて、見たくないでしょう」
後ろのロッカーの上で胡坐をかく河内と向き合うように、私は教卓の上に座った。眼下の豚の集団が、「オオオオオオオオ!」と勝鬨のような鳴き声を上げる。
孝哉は俯いて唇を噛み締めた。――姉を守れない無力な自分が、情けない。
「……孝哉。私なら大丈夫だから」
「大丈夫なもんか! 姉さんはいつもそうやって……」
嘆く孝哉を見て、私は深く溜め息を吐いた。もう少し豚達を焦らしていたかったのだが、これ以上孝哉の悲しむ顔を見るのは嫌だった。最終兵器を持ち出すべく、私は彼に「おいで」と手招きしてその耳元で囁いた。

