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篠突く - 禁断の果実 -
第3章 本編三話 悪事千里を走る

「紗絵ちゃんを呼んできて。お願い」
元カノの名前を挙げた瞬間、弾かれたように顔を上げた孝哉は、困惑の表情を見せた。無理もない。今ここに林 紗絵が来たところで、何になるのかさっぱりわからないだろう。会話が録音されたボイスレコーダーの持ち主は、明らかに林 紗絵だ。だが、ここで彼女を持ち主だと明かして血祭りに上げたところで、河内が喜ぶネタにはなるまい。
戸惑いながらも頷いた孝哉を見送り、私は時間を稼ぐことにした。だが、どうやら林 紗絵は思ったより近くにいたらしく、お楽しみの時間は終わりを告げる。
「……あ」
廊下に出た孝哉は、視界に林 紗絵の姿をおさめたようだった。
「……林さん、入って」
孝哉の冷えた声の後、林 紗絵が教室の後ろの扉をゆっくりと開け、私に目を向けたままおずおずとお辞儀をした。そんな彼女を見て河内が驚いたように目を見開いていたが、これも想定済みだった。
「……昨日はどうも」
私が首を傾けてにこりと笑ってみせると、彼女はその可愛い顔を引き攣らせた。
「これで満足? ……この二股女」
元カノの名前を挙げた瞬間、弾かれたように顔を上げた孝哉は、困惑の表情を見せた。無理もない。今ここに林 紗絵が来たところで、何になるのかさっぱりわからないだろう。会話が録音されたボイスレコーダーの持ち主は、明らかに林 紗絵だ。だが、ここで彼女を持ち主だと明かして血祭りに上げたところで、河内が喜ぶネタにはなるまい。
戸惑いながらも頷いた孝哉を見送り、私は時間を稼ぐことにした。だが、どうやら林 紗絵は思ったより近くにいたらしく、お楽しみの時間は終わりを告げる。
「……あ」
廊下に出た孝哉は、視界に林 紗絵の姿をおさめたようだった。
「……林さん、入って」
孝哉の冷えた声の後、林 紗絵が教室の後ろの扉をゆっくりと開け、私に目を向けたままおずおずとお辞儀をした。そんな彼女を見て河内が驚いたように目を見開いていたが、これも想定済みだった。
「……昨日はどうも」
私が首を傾けてにこりと笑ってみせると、彼女はその可愛い顔を引き攣らせた。
「これで満足? ……この二股女」

