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篠突く - 禁断の果実 -
第4章 本編四話 逆襲

「……え?」
林 紗絵はぽかんとした表情で立ち尽くしている。白々しい。勿論、孝哉も何がなんだかわからないといったふうに、間抜けな顔をしていた。その一方で河内はというと、目をつぶり、深く思案するような表情を見せる。
「……聞こえなかった? もう一度言ってあげるよ、二股女」
笑ってはっきりとそう告げてやると、林 紗絵は今にも泣き出しそうな顔をした。
「……ひどいです、悠先輩……。あたし、孝哉くんとしか付き合ってなかったのに……」
「うちの弟はお人好しでね。だからバカな女に騙されるのよ」
私はスカートのポケットから小さな部品のようなものを取り出し、上に投げては掌に落とし、上に投げては掌に落とし、という動作を繰り返す。それは、この間私達の家に来た林 紗絵が、孝哉の部屋に忘れていったものだった。
「……これ、なあに?」
それが何なのかはわかっていたが、彼女の反応を確かめるように意地悪く聞いてみる。
林 紗絵は驚きに目を見開き、しかし、すぐに取り繕ったような笑顔を浮かべた。
「……なんですか? それ」
「あっそ、とぼけるのね。……これねぇ、盗聴器っていうのよ。この前あんたが忘れていったやつ」
「証拠はあるんですか?」
「そうねぇ、残念ながら無いのよね。でもね」
林 紗絵はぽかんとした表情で立ち尽くしている。白々しい。勿論、孝哉も何がなんだかわからないといったふうに、間抜けな顔をしていた。その一方で河内はというと、目をつぶり、深く思案するような表情を見せる。
「……聞こえなかった? もう一度言ってあげるよ、二股女」
笑ってはっきりとそう告げてやると、林 紗絵は今にも泣き出しそうな顔をした。
「……ひどいです、悠先輩……。あたし、孝哉くんとしか付き合ってなかったのに……」
「うちの弟はお人好しでね。だからバカな女に騙されるのよ」
私はスカートのポケットから小さな部品のようなものを取り出し、上に投げては掌に落とし、上に投げては掌に落とし、という動作を繰り返す。それは、この間私達の家に来た林 紗絵が、孝哉の部屋に忘れていったものだった。
「……これ、なあに?」
それが何なのかはわかっていたが、彼女の反応を確かめるように意地悪く聞いてみる。
林 紗絵は驚きに目を見開き、しかし、すぐに取り繕ったような笑顔を浮かべた。
「……なんですか? それ」
「あっそ、とぼけるのね。……これねぇ、盗聴器っていうのよ。この前あんたが忘れていったやつ」
「証拠はあるんですか?」
「そうねぇ、残念ながら無いのよね。でもね」

