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篠突く - 禁断の果実 -
第4章 本編四話 逆襲
 彼女の浮気相手が私の弟だった。陥れたい女の弟だった。恐らく河内は、命令が聞けないならハメ撮り写真をばら撒くとかなんとか言って脅したのだろう。そして、彼女を利用したのだ。
 誰しも身内は大切である。その弱みをどうにかできないかと考えていたのだろう。孝哉と私がデキているとは知らなかっただろうが、林 紗絵の浮気に気がついた時点であのボイスレコーダーを持たせていた筈だ。盗聴器も、この間彼女が落としていった後、他にも無いか家中くまなく探した。勿論全て回収済みだ。孝哉の部屋以外で行為をしたことがなかったというのが救いだった。
 私と弟がセックスをしたという事実は私達にとって最大の弱みだが、それは同時に彼らにとっては罠だったのだ。弟を、ひとりの男として愛し、彼を守るためならどんな汚いことでもする覚悟がある。それを知らなかったのが、林 紗絵と河内の過ちだ。
 前言撤回しよう。

「あんたがバカで助かったわ」

 林 紗絵は、その場に泣き崩れた。河内の命令は聞いたが、こうして彼らの計画は失敗に終わった。校内だけなのか、それともネットでする気なのかはわからないが、河内の手によっていかがわしい写真をばら撒かれてしまうのだろう。気の毒だが、自業自得だ。河内のようなクズと付き合ったのも、私の弟に恋をしたのも。
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