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篠突く - 禁断の果実 -
第2章 本編二話 吐露
 恐らく、話すつもりなのだろう。
 林 紗絵はといえば、きょとんとした顔で孝哉と私を見比べた。大方、自分が今日この場所でふられるとは思ってもみないだろう。

「……林さん。今日君を呼んだのは、大切な話があるからなんだ」

 孝哉の前に正座した彼女の小さな拳に、力が入るのがわかった。
 鼓動の音がやけに煩い。他人事ではないのだから。私はベッドに腰掛けて、幾度となく脚を組み替えた。

「……好きな人がいる。ずっと前から。君と出会う前からだよ。……その人じゃなきゃダメなんだ」
「…………何言ってるの? 孝哉くん。そんなこと知ってるよ。それでもいいってあたし言ったじゃない。二番目でもいいから、付き合おうって」
「……そうじゃないんだ。その人だけがいいんだ。……君と付き合い始めた後、俺はその人と寝た。他に付き合ってる人がいるのにそんなの、最低なことだってわかってる。……ごめん」
「……だから、いいって言ってるじゃない……」
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