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おじさまと咲姫
第20章 動揺
「これなら文句ないだろ」
悠眞は言い。
咲姫の身体が濡れる事のないようにそちらに全面的に傾けつつ、自分も傘の中に入った。
「…うん」
咲姫は微かに笑い、頷いた。
傘をどうやら持ってなさそうな彼の手前、一人だけ差す事は憚れた。
かと言って『一緒に入る?』なんて気軽にも訊けず-だってきっと『自分はいい』って突っぱねられるに決まっているし。
そんな自分の胸中を察し、自ら傘を開いてくれた-その気遣いが嬉しかった。
時折こんな事をされるから、普段の意地の悪さはすぐに帳消しになってしまう。
傘に当たる雨音を聞きながら、咲姫は口を開いた。
「…今日、仕事休みじゃなかったの?」
数日前、電車で偶然会った時と同じスーツ姿に疑問に思ってた。
「休出と言う名の、所謂タダ働き?」
悠眞は鼻を鳴らした。
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