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おじさまと咲姫
第20章 動揺
黙ってソファに座っていた咲姫が、なんの前触れもなく勢いよく立ち上がった。
驚きのあまり悠眞も条件反射的に、腰を上げる。
「…帰る」
持参して来た鞄や紙袋を手に、咲姫はリビングの扉に向かう。
「咲姫?」
悠眞は名を呼ぶが-返事はない。
絶対に聞こえているだろうに-つまり無視を決め込む咲姫に、悠眞は多少の苛立ちを覚えてしまう。
「待てよ」
今一度声をかけるがやはり応答はなく-それどころか歩くスピードを速められ、咲姫は既にドアの取っ手に手をかけるところだった。
彼女に聞こえないくらいの音量で舌を打ち、悠眞にはつかつかと咲姫に歩み寄った。
扉を開けようと、ハンドル部分にかけていた咲姫の右手を取る。
その拍子。
背を向ける形となっていた咲姫の身体が、こちら側を向いた。
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