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おじさまと咲姫
第20章 動揺
「うん。前から食べてみたいって思ってたのがあって。月一しか売らないケーキがあってね、午前中には完売しちゃうようなやつ。いつもなかなか買いに行けなくて…だから今日はラッキーだった。悠眞の家と、うちの分と、二つも買えちゃったし」
-きっと、美味しいはずだよ。
咲姫は微笑んだ。
「…ふうん?」
手に入れるのがどんなに難しいか。
このケーキがどんなに貴重か。
咲姫としてはもっと延々と彼に語りたい事があったのだが-当の本人はさほど興味がなさそうな相槌を打ってきた為、それはとりあえず中断する。
「まあ、そんなに美味しいって言うのなら、食べてみたい。お前も付き合え、ちょうどお待ちかねのおやつの時間だし?」
『おやつ』-明らかに自分を揶揄する言い方。
子供扱いしないでと怒ろうとし-しかし限定ケーキの誘惑には勝てず、とりあえず保留とする。
白い壁にかかった丸い時計は-もう少しで三時になろうとしていた。
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