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おじさまと咲姫
第36章 機会
「そんなすげぇ可愛い顔で煽ってくんなよ」
-またヤバくなるだろ。
短く言い残し。
昴は誘惑を振り切るように身体を元の位置に戻し、通路を歩く店員を呼んだ。
アイスティーとアイスコーヒーを頼めば、注文を受けた店員は程なく下がり、テーブルの周りはまたしてもふたりだけの空間となる。
前髪に触れた彼の髪の毛。
すぐ側で告げられた想い。
瞬時に甦り、とても彼を見続ける事など出来ない。
咲姫が俯いて意味なく前髪を弄っていれば、昴が口を開いた。
「やっぱり忘れられない。やっぱり好きだって伝えたかったのと…後は、謝りたいと思って」
「謝る…?」
咲姫がきょとんとしていれば、昴は微かに笑った。
「サークルの旅行で、いきなり円城寺にあんな事をしてしまった。それをずっと謝りたいって思ってた。気にはしていたんだけど…結局こんな遅くなってしまって、ごめん」
あんな事-咲姫は忽ち理解し、頬を火照らす。
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