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第10章 悠眞

「…なんで」
やっとの事で、ひとこと。
疑問をぶつける。
「なんで、いるの？」
あまりにも不躾と言ったら不躾な咲姫の問いに、悠眞の口角が面白そうに上がる。
「なんでって、一応ここ俺んちだし？」
顎で右側の白い家を示し、咲姫を一瞥する。
その誘い込むような眼差しに惹かれそうになり、咲姫は慌てて地面に目線を落とす。
「そ…それはそうだけどっ」
「実家なんだから、たまには帰って来るさ。今までだって長い休みには、だいたい帰って来てたし」
「それは…知ってる、けどっ」
ワンピースの裾を握り締めながら、咲姫は短く言い切る。
確かに、悠聖から時折聞いてはいた。
お盆やお正月など長期の休みの際、彼が帰省してる事。