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おじさまと咲姫
第39章 不快
何センチのヒールだったのかな-自分もあんなの履いて、つまづきもせずに格好良く歩いてみたい。
そこまで考えて、すぐにやるせない笑いが漏れた-絶対無理なくせに、何を思っているのだろう。
乾いた笑いはすぐに溜め息に変化する。
咲姫は一呼吸置いた後、玄関の施錠を解いた。
いつもと同じドアなのに、今日はまるで鉄の扉のようだった。
可能なら今一番会いたくないひとが、このドアの向こうで待ち構えている。
その沈んだ心が、扉をいつもの何倍も重くしていた。
それでもどうにかドアを開ければ-果たして彼が立っていた。
目が合い-咲姫はすぐに視線を逸らす。
不自然に視線を落とした咲姫を少し気にかけながらも、悠眞はいつの調子で口を開く。
「居留守を使うな」
「…使ってないし。大体家の前にお父さんの車があるんだから、普通は家に誰かいるって思うでしょ」
咲姫がつっけんどんに返してやれば、しかし悠眞も負けてはいない。
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