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おじさまと咲姫
第42章 接吻
それを信じたかどうか-いや、多分信じられないから訊かれるのだろう。
それから事あるごとに繰り返される。
『大丈夫?』-と。
だから、大丈夫なんかじゃないですってば-咲姫はロビーの壁に背を預け、ひとり毒づく。
ご飯は全部食べられないし。
さっきは確かに『いらない』と答えたが、喉も乾いてきた。
『飲み物を買って来る』は、彼から逃れる為の真っ赤な嘘でもなかった。
嘆息し、我に返る。
「映画、始まっちゃう」
トイレを済ませ、飲食類を売ってるカウンターでオレンジジュースを購入し、元いたスクリーンに急いで向かう。
席に戻れば、嬉しそうな笑みで出迎えられた。
「間に合って良かった」
昴の言葉通り、彼の隣りに座ったと同時くらいに、予告がスタートした。
幾つかの予告が流れ、もうそろそろ本編が開始する頃かも-そう思った矢先。
あ、あれ観たかったやつ-冬に公開となる映画の映像が流れ、咲姫は釘付けとなる。
いつしか夢中になって観ていれば、不意に昴が耳元に唇を寄せてきた。
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