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おじさまと咲姫
第10章 悠眞
「ユウは…悠聖は優しいもん。今だって」
意地の悪い事ばかり次々言われ。
もっと言い返してやりたいが、これくらいの反論しか出来ない。
「まあ、俺に比べたら…かもだけど。しかし『王子さま』はないだろ『王子さま』は」
繰り返され。
咲姫の頬は完熟した赤い果実のようになる。
「…悠聖は、私の命の恩人だもん。私を救ってくれたひとだもん。まだ小さかった私の目には、童話に出てくる王子さまに見えたんだもん。いいじゃん別に。悠眞の事じゃないんだから」
咲姫がむきになれば、煙草とライターをなんとはなしに弄んでいた悠眞の動きが一瞬、止まる。
立て続けに嗤われる事を想定していた咲姫は、その微妙な間に戸惑う。
「ゆうま…?」
恐々名を呼べば、やがて悠眞に感情の色が戻る。
多少無理矢理に見えなくもない微かな笑いが、張りつけられた。
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