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おじさまと咲姫
第44章 彼氏
いつの間にか、物欲しそうに見つめていたらしかった。
それを見事に指摘され、咲姫は恥ずかしくって堪らない。
『食い意地張ってる』とか思われたくない-今更のような気もしたが、そこはやっぱり丁重に断るしかない。
けれどそんな咲姫の心中など、昴にはお見通しだった。
「円城寺のとはどっちも違う味だよ。美味しいから食べてみて欲しいな」
テーブルの上に、昴が紙カップを置いた。
『食べてみたいけど言い出せない自分』に恥を掻かす事なく。
かと言って、決して押しつけがましくなく。
寧ろ自分から提案したかのような口振りで、促してくる彼。
その優しさに、咲姫は素直に嬉しくなる。
自分のスプーンを伸ばしかけ-昴の少し焦った声に制される。
「あ。でもよくよく考えてみれば、食べかけだった。ごめん」
昴が申し訳なさそうに告げてくる。
「俺が口つける前に、円城寺に食べてもらえば良かったな。気が利かなくて-」
-ごめん。
まさかの謝罪に、咲姫は居たたまれなくなる。
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