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【寝取られ】喰われる彼女 亜紀
第16章 【寝取られ】喰われる彼女 亜紀(16)
帰り道、俺達は2人でライブの話をしながらゆっくりと歩道を歩いていた。
「ライブ良かったね。」
「うん、大満足!直樹君、今日はありがとね、本当に楽しかった。」
「俺も、楽しかったよ。やっぱりライブは良いね、家で聞くのとは大違い。なんていうか、身体全体に音が響いてきて一体感があるしさ。」
俺がそう言うとなぜかクスっと笑う亜紀。
「フフッ、本当に直樹君も楽しかった?」
「え?本当だよ、楽しかったよ。」
亜紀は急に立ち止まって俺の前に回り込むと、下から顔を覗き込むようにして同じ事を聞き直してきた。
何かを疑ってるような表情。
「ねぇ直樹君、1つ聞いていい?」
「なに?」
「直樹君って本当はファンでも何でもないんでしょ?」
「え……そ、そんな事は……」
「本当は曲なんて全然知らないし、殆ど聞いたこともなかったんじゃない?」
「そんな事ないよ……俺は……」
亜紀に図星を突かれて動揺した俺は言い訳をその場で考えたが、途中で諦めた。
「……ごめん。」
「やっぱそうだったんだ。じゃあ好きな曲とか言ってたの、全部嘘だったって事だよね?」
少し怒ったような表情で言う亜紀。
「……。」
何も言い返せなかった。
俺は亜紀に対して下らない嘘をつき続けていた自分が、ただただ恥ずかしかった。
しかもそれが全部見抜かれていたなんて、間抜け過ぎる。
知ったかぶりでライブの感想を語っていた時の勢いを失い、ショボンと下を向いてしまった俺。
すると、なぜか亜紀がまたクスクスと笑い始めた。
俺は亜紀がなぜ笑っているのか分からなかった。
でも亜紀は笑いが止まらない様子で、腹を抱えている。
「え……?どうしたの?なんか可笑しい?」
「フフフッ、ううんごめん、そうじゃないの。なんだか直樹君らしいなぁって思って。」