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【寝取られ】喰われる彼女 亜紀
第16章 【寝取られ】喰われる彼女 亜紀(16)
そこまで言って、そこから先がなかなか喉から出てこなかった。

でも俺は言ったんだ。


「俺……亜紀ちゃんの事が、好きだ。」


その時、俺達の周りには誰もいなくて、辺りは静まり返っていた。

あまりに静かだったから、なんだかその瞬間だけ時が止まったかのようだった。


「だから……もし良かったら、俺と付き合ってください。」


さっきまで笑っていた亜紀だったけれど、俺がそう告白すると下を向いて黙り込んでしまった。

たぶん5秒か、10秒くらいそうしていたと思う。

告白されて困っているんだろうな……どうやって断ろうか悩んでいるんだろうなと、俺は思った。

しかし沈黙の後に亜紀が口を開いて言った言葉は、俺と同じものだった。


「私も……直樹君の事が好き。」


顔を上げた亜紀の表情は、笑顔だった。


「だから……よろしくお願いします。」


信じられなかった。

亜紀の返事に俺は驚いてしまって、これが夢なのか現実なのかも分からなくなって、もう一度聞き返してしまう。


「ほ、本当に?」


「フフッ本当だよ、私は嘘つきじゃないもん。直樹君の方こそ私の事本当に好きなの?」


悪戯っぽく笑いながらそう言ってきた亜紀。

俺はもう、嬉しいのと、その亜紀の笑顔が堪らなく愛おしくなって、思わず亜紀の身体を抱きしめた。


「キャッ」


「あっ、ごめん、痛かった?」


「ううん、ちょっとビックリしただけ。そのままにして……私、男の人にこんな風に抱きしめられるの初めて。」


「俺も、初めて。」


「そうなんだ。私達、初々しいね。」


「うん。」


「でもなんか、いいねこういうの。なんていうか、凄く安心する。」


そう言って亜紀は俺の胸に顔を埋めた。

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