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淫らな方程式
第2章 密航者ナタリー
 ただしアレックスの話を聞いて、母船のパイロットたちも心を動かされたらしい。


 みんな必死で他の船との連絡をとってくれたようだが、「エロスの方向へ向かう船も、代わりの小型宇宙艇を打ち出せる船も、付近にはいない」という失意の結果に終わった。


 母船の船長は無線で申し訳なさそうに「本当にすまない。我々としても十分に手を尽くしたのだがどうしようもない」とアレックスに言った。


 絶望感に呆然とするアレックスは「いえいえ、とんでもない。ご協力に深く感謝いたします。無理を言って申し訳ありませんでした」とだけ言うのが精一杯だった。


 そしてもちろん、絶望感を味わっていたのはアレックスだけではなく、クリスとトーマスも同様だった。



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