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第2章 密航者ナタリー

　諦めたように目を閉じて深く息を吐くクリスとは対照的にトーマスは泣きそうな声でアレックスに尋ねる。


「何か……他に手は？」


　アレックスは黙って首を振る。


　悲痛な表情で黙り込むアレックスをちらりと見てから、代弁するかのようにクリスがトーマスに向かって言った。


「私たちに出来ることは、彼女が艇内に後どのくらいの時間とどまっていられるのかを計算し、算出することだけだ」


　髪をかきむしりながらトーマスが言う。