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神は現で夢を見る
第2章 漆黒の乙女と薬師
「解った、君は凪で良い。だから顔、上げて、ね」
海の言葉に、凪が顔を上げる。
海がしゃがんで凪の目線に合うように見詰めていたから、お互いの顔がとても近い。
海から見る凪は、まるで昔の凪そのもので、凪から見る海は、どこか儚げで懐かしく思う、超が付く程の美人。
男装の女性のようだ。
確かにそう、見えた。
「貴方は、本当に男性ですか? 」
不躾にも、凪が海に問うたのはその言葉。
海は、グッと喉を詰まらせた仕草の後、ぷっと吹き出し笑いをし始めた。
目尻に涙が溜まりそうな、大笑い。
それに首を傾げたのは、凪だった。
「あたし、何か変な事言いました? 」
「いや、そうじゃない。君のせいじゃ無いよ」
海はそう言って目尻を拭うと息を軽く吸って、吐いた。
「同じ事を言われたから」
「……………? 」
「………解らないか、昔、君と同じ事を言った女がいてね」
「………あっ……… 」
凪が、何かに気づいて口元を手で覆った。
逸れを見た海もまた、困った顔を見せた。