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資料室の恋人
第9章 車窓の花火
「うん…きれいだね」
キラキラと夜空に吸い込まれるように消えていく光を見ながら、ふと思う。
先生はどうしてるだろう。
出張かな。仕事中かな。
先生もこの花火を何処かで見ているのだろうか。
"俺の気持ちはどうでもいいんだね"
あの電話から一度も連絡を取っていない。
思ってもない事を言って怒らせてしまった。本当は会いたいと言いたかったのに。
「ねぇ、明里…」
「うん?」
「もし好きな人に可愛い女の子たちが群がってたらどうする?」
「え!?なにそれ!」
唐突な質問に明里が顔を向けるが、日和は花火を見つめたままだ。
真面目に言ってるんだよね?と心の中で問う明里。
「ちょっと…それがどういう状況なのか謎だけど…。でもまあ、私なら嫉妬するかなぁ」
「嫉妬?」
「うん。好きな人が、その女の子たちの誰かを好きになっちゃったらどうしようー!って思って不安になる。で、好きな人にも女の子たちにもイライラしちゃう!」
「イライラ?」
「そう!だって、好きな人には私だけを見ていて欲しいじゃん?」