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資料室の恋人
第9章 車窓の花火
「直也たち、何か話し込んでるね」
離れたところで直也と航平が話しているのを見ながら、日和と明里はコンクリートのベンチに腰を下ろした。
花火始まっちゃうのに〜と頬を膨らます明里。
「ねぇ、明里」
「ん?」
「私と航平先輩くっつけようとしてる?」
「えっ!!?」
明里は驚いた顔をして、すぐに焦り出した。
「あ、あのねっ、日和と航平先輩ってお似合いだなぁ〜って思ったから、それで、その…」
しょんぼりする明里に、日和はやっぱりーと言って肩をぶつけた。
「ごめん、迷惑だった…?」
「ううん、私もちゃんと言わなかったし。でも私、他に好きな人がいるんだ」
「え!そうだったの?!」
「うん、先輩にも言ったよ。だから、もう仲を取り持たなくて大丈夫だから」
そっか…と寂しそうに小さい声で言った明里だったが、すぐに笑顔になって身を乗り出してくる。
「その人とはどうなの?付き合ってるの?!イケメン?同じ大学の人??」
「え、えーと…」
その時、ドーンと大きな音がして夜空一面に花火が咲いた。わーっと辺りが歓声に包まれる。
「きれーい!」
直前まで日和の話に興味津々だった明里も花火に興奮して声を上げている。