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資料室の恋人
第3章 出さないメール
土曜日の昼下がり、日和は携帯電話の画面を見ながら悩んでいた。
今までしていた勉強を中断し、ベッドの上にごろりとうつ伏せに寝ると、またアドレスの確認をした。
「…………」
宛先に入れられたアドレスは、昨日教えてもらった佐倉のものだ。
気軽にメールしてよと言われたが、昨日のお詫びくらいしておいた方が良いいのだろうか。佐倉は気にしなくていいと言っていたが、日和がいつ来ていいように資料室を開けて待ってくれていた。すみませんもありがとうございますも言えていない。
しかし休日にメールしたら迷惑かもしれない。
そんな事を延々と考えている。
「……やめよ」
宛先だけ入れたメールを削除して、画面を閉じた。
仰向けになって天井をぼんやり眺めていると、窓からそよそよと風が入ってくる。
気分転換でもしようと、日和はコンビニへ行くことにした。