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資料室の恋人
第4章 オレンジ色の部屋

「…ずっと?」

佐倉が驚いた顔をしているのを見て、日和は後悔する。
こんなこと言うつもりじゃなかったのに。潮時だ。
もう資料室に通うのはやめようと考えた時、佐倉の手が日和にのびる。手が重なって指が混ざると、佐倉がふわりと日和を抱きしめた。

「なんとも思ってない人にキスすると思う?」

固まる日和の耳元で佐倉が囁いた。

「ごめん、意地悪しすぎた。俺のこと好きだって言ってくれて嬉しい…俺も三木さんが好きだよ」
「…え、でも、あの」
「本当だって、嘘じゃないよ」

抱きしめられて佐倉の胸もとで縮こまる日和。
耳元で佐倉の鼓動が聞こえてくる。

「好きでもない人の為に、毎週毎週こうやって資料室開けたりしないよ俺は」
「…え、でも、先生が調べ物のために開けてるって…」

日和が見上げると、半分呆れたような顔の佐倉が見下ろしていた。

「…会いたかったからに決まってるでしょ…なんで全部言わせるの、恥ずかしいんだけど」

ふたりは顔を見合わせる。佐倉は呆れ顔で、日和は口を一文字に閉じて頬を赤くしていた。
佐倉はぷっと笑うと、首を傾けながら日和に顔を近づける。

「あっ、待って…その…またするんですか…?」
「ダメ?俺はしたいんだけど」

それだけ言うと、顔を近づける佐倉。すると日和がまた制止する。

「あっ…あの、でも、待ってくださいっ」
「待てない」

更に日和がまた何か言ったが、佐倉は無視をしてキスをする。
2度も止められたのだ。今度は長めにしてやろうと思う佐倉だった。


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