この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
資料室の恋人
第4章 オレンジ色の部屋
窓から入る夕陽に照らされて、佐倉の白いシャツがオレンジ色に光っていた。
ゆっくりと唇が離れると、腰を抱いていた佐倉の手も緩んだ。日和は、佐倉からよろよろと離れると、口元を押さえて真っ赤になる。
「…キスは嫌がらないんだ」
そう言われて、日和は自分の頬が更に赤くなるのを感じていた。身体中の血が顔に集まってくるようだ。
「顔真っ赤だよ。今のキスで俺のこと好きになった?」
なんてね、と言った佐倉がくすくすと笑った。
「………じゃ、いけませんか」
「え?」
日和が下を向いてぼそりと何か言う。
聞き取れず佐倉が聞き返した。
「好きじゃ、いけませんか…!?」
キッと佐倉を睨んだ日和の目からは、涙が流れていた。
緊張と怒りと恥ずかしさと切なさと、色々な感情で日和の頭はごちゃごちゃだった。ただ涙が溢れて、止まらない。
「…先生は私のこと、からかって面白がって、暇つぶしに最適な学生って思ってるかもしれないですけどっ…私は、先生のこと、ずっと好きだったんです…!だから、……」
辛かった。
からかわれて遊ばれる事じゃない。
好きでい続ける事が辛かった。
叶わないとわかっていたから。
距離が縮まって、一緒に過ごすのが楽しくなるほど、辛くなるのだ。