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資料室の恋人
第4章 オレンジ色の部屋

窓から入る夕陽に照らされて、佐倉の白いシャツがオレンジ色に光っていた。
ゆっくりと唇が離れると、腰を抱いていた佐倉の手も緩んだ。日和は、佐倉からよろよろと離れると、口元を押さえて真っ赤になる。

「…キスは嫌がらないんだ」

そう言われて、日和は自分の頬が更に赤くなるのを感じていた。身体中の血が顔に集まってくるようだ。

「顔真っ赤だよ。今のキスで俺のこと好きになった?」

なんてね、と言った佐倉がくすくすと笑った。

「………じゃ、いけませんか」
「え?」

日和が下を向いてぼそりと何か言う。
聞き取れず佐倉が聞き返した。

「好きじゃ、いけませんか…!?」

キッと佐倉を睨んだ日和の目からは、涙が流れていた。

緊張と怒りと恥ずかしさと切なさと、色々な感情で日和の頭はごちゃごちゃだった。ただ涙が溢れて、止まらない。

「…先生は私のこと、からかって面白がって、暇つぶしに最適な学生って思ってるかもしれないですけどっ…私は、先生のこと、ずっと好きだったんです…!だから、……」

辛かった。
からかわれて遊ばれる事じゃない。
好きでい続ける事が辛かった。
叶わないとわかっていたから。
距離が縮まって、一緒に過ごすのが楽しくなるほど、辛くなるのだ。
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