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資料室の恋人
第6章 雨の流れ星
「泣くほど気持ちよかった?」
佐倉が日和の頬を伝う涙を拭う。
「…もうっ、面白がらないでくださいっ!」
「ううん、愛おしいなって」
日和は佐倉の言葉に心が温かくなるのを感じていた。
でも、自分も愛おしいと思ったことは言わないでおこう…。何をされるか分からない。そう考えていると、佐倉が、そうだ、と思い出したように言った。
「2人の時は名前で呼んでいい?俺のことも呼び捨てでいいよ」
「うーん…でもいきなり呼び捨ては抵抗があります…」
「じゃあ、きょーちゃんとかは?」
「それは絶対呼びたくないです」
うーんと考える日和。
「くん付けはどうですか?」
「呼んでみて」
「……恭介くん」
「そうやって恥ずかしそうに言われると、またしたくなるね」
「じゃあ、恭介さん」
「恭介くんで」
その時、突然佐倉が、あ!と言った。
「ラーメン!!!」
「え…?あっ!」
お湯を入れてから3分…なんてとうに過ぎている。
「…麺伸びてるね」
「スープ無さそうです…」
ふたりは笑いながら、顔を寄せ合ってキスをした。
「もっかいする?」
「………」
日和は佐倉の言葉を無視して、代わりに枕を投げつけた。
窓の外はいつの間にか晴れて星空が見える。ガラスに付いた雨の水滴が滑って落ちていく。それはまるで流れ星のようだった。