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資料室の恋人
第7章 味噌汁と卵焼きと金平とパスタと、君
朝食を済ませた後、2人で食器を片付ける。
佐倉は洗われた食器を拭きながら時計を見ると、時刻は9時になろうとしていた。
「デートする?」
「えっ」
驚いた日和は洗い物の手を止めて、こちらを向いた。
「デートって言っても、ちょっとそこまでだけど。日用品買いに行きたくて」
「…じゃあ、食料品も買いましょう。冷蔵庫空っぽなので」
日和がにこりと微笑んだ。
彼女は普段、どこかアンニュイな雰囲気を出しているので笑顔になるとほっとする。無表情で本を読んでいる顔も好きだが。
触れたい衝動に駆られて、頬にちゅっとキスをした。
「なっ、なんですか突然…!」
「おはようのチュー忘れてたから」
「…意外と子供っぽいところありますよね…き、恭介くんて」
彼女は恥ずかしそうに、恭介くんと呼ぶ。それがなんとも可愛くて自然と口の端が上がってしまう。
「日和…」
ダメだ止まらなくなる。
「っ、恭介くん…っ、ご飯食べたばっかりなのに…」
「そんなのいいよ」
「でも…っん」
彼女の手から濯いでいた皿がシンクに落ちる音がした。佐倉は構わずキスを落とす。キスの最中、目を開けて彼女の顔を見るのが好きだ。少し眉間にしわを寄せて懸命にキスに応えてくれる。その表情がたまらないのだ。