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資料室の恋人
第7章 味噌汁と卵焼きと金平とパスタと、君

日和を送る頃になると、空には黒い雲が広がり雨が降り出していた。
少し冷えた車内はワイパーの規則的な音が響いている。

「また雨になっちゃったね」
「早く梅雨あけてほしいです」

外を見ると、道の端に水溜りができている。対向車が水を跳ねながら通り過ぎて行った。

「あ、そういえば、恭介くんの実家は農家なんですか?」
「え?ううん違うけど…なんで?」

ハンドルを回しながら佐倉が聞いた。

「だって、雨が好きだって言ってたので、ご実家が農家さんなのかなって…」
「あー…そういえばそんなこと言ったね」

金曜日の帰り際を思い出す。
どんよりとした空を眺めながら日和とそんな話をした。

「何で雨が好きなんですか?」
「うーん、いつも好きなわけじゃないかな」
「?」

そう、雨が降ったから。

「家まで送る口実になるでしょ」
「え?」
「ちょっとでも長く一緒に居たいってのは、俺も同じだから」

日和の頬が赤くなるのを横目で見ながら、佐倉はアクセルを踏んだ。

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