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隠しごと
第3章 痴漢
俺の背にぴたりと密着したそいつが、薄く笑う気配が伝う。
「君騙されやすいって言われるやろ」
「そんなこと……!?んッ、ぅっ…」
グニグニと揉まれる感覚に耐えられなくて、上の歯で下唇を噛む。
急に尻たぶに爪が食い込み、前のめりに傾いた。
笑った息が首筋にかかってぞっとする。
「声出してもかまんよ?ほら…痛いんやろ?それとも感じてきたんか、変態」
「クソ…が…」
頭が混乱する。
電車内で痴漢されてる。男なのに、もう20も越えた男が……
声を上げたら?こいつの調子にのって尻をさわりまくる手をひねりあげてぶちまけたら……だめだ、白い目で見られる。俺が。
男が痴漢にあうなんて。
被害者も加害者も男なんて。朝のニュースで笑いもんだ。
しょっぱい。オタクにもプライドはある。
ガタンゴトンガタンゴトン
電車はもう出てしまっている。断続的な揺れが伝わってきて、逃げ場がない。
周囲の連中は気付いてないのが救いか地獄か。
吊り革に掴まってあくびをかみ殺す学生、前の席に座って船をこいでるサラリーマン、音楽を聴いてる若者、友達とアイドルやJ-POPについてしゃべりあってる女……誰もこっちを見てない。
ほっと息を吐き安堵する自分が悲しい。
グリ
「!?」
突然ズボンの上から人さし指で窄まりをなぞられ、ぞくりと悪寒が走る。