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隠しごと
第4章 遠淫
「…つまり、お前と俺でテレフォンセックス…的なのするっていうことだよな。画像とかは…」
『あぁいらんいらんマイクで十分や』
知識としては、俺も大人だ、知っている。
だが、どことなくレトロな感じの響きのその発音が、妙に馴染まない。
決して、自ら望んでそういう行為をしたいと思っている訳ではないのだが、頭に入っている知識から、ふと脳裏をよぎったそれ。
わずかな不安と期待。
『一人でするよりも、もっと気持ちええし。
声だけでイかせたるよ』
じわりと耳元に聞こえる低音に、先日の行為を思い出してしまう。
無意識にか、俺は小さく喉を鳴らしていた。
「……わかった。
電話でなら、お前もおかしなこと出来ないだろうし。したら切るし」
基本的に、俺は快楽に弱いらしい。
一度感じた快楽を、脳も体もすっかりと受け入れているせいか、行為に入ると決めたら、俺の中の何かが切り替わるようだった。
ソレを感じたのか、右京は楽しげに言った。
『ほな、始めよか?井上くん』
ビク
その声を聞いた瞬間、俺は自分が何かを期待してしまっていることを認めざるを得なかった。
体中が、快楽を求めてざわつくのを感じてしまったから。