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サキュバスちゃんの純情《長編》
第4章 過日の果実
「では、せめて、お食事を当館のレストランで召し上がってくださいっ」
鈴木さんの熱意に根負けして、湯川先生を見上げる。
先生は苦笑しながら、「昼食にはまだ早いから、カフェにでも行こうか」と助けてくれる。
「じゃあ、カフェで」
「わかりました! ありがとうございます!」
「でも、あと少し、ここで彼女のご先祖様の思い出話をさせてください」
「あ、気が利かずに申し訳ありません! ゆっくり見ていってくださいませ! カフェのほうには話を通しておきますのでっ」
鈴木さんが去っていったあと、湯川先生は空を仰いで、盛大に溜め息を吐き出した。
「あかりのご先祖様、かぁ……」
「……たぶん、ね」
湯川先生のショックは大きかったようで、私の声は届いていないようだ。
まぁ、曾祖母をオカズにしていたというのだから、ショックを受けるのも仕方ないのかもしれない。
しかし、これで「あかりはご先祖様の絵を見て泣いた」と思われるだろう。そのほうが都合が良い。
ありがとう、鈴木さん。
「まぁ、そうだよなぁ……年代的にそうだよなぁ」
「いいじゃん。次からおばあちゃんじゃなくて私をオカズにすれば」
「……もうしてるし」
「……望、あとでスマホ見せてね」
墓穴を掘った先生に笑顔で追い打ちをかけて。
結局、その後、先生のスマートフォンの中に隠し撮りしてある私の寝顔や裸の写真を、提出させるのだった。

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