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サキュバスちゃんの純情《長編》
第4章 過日の果実

「せんせ、せんせぇっ」
「あかり、俺も」

 一緒に――。
 大きな波に飲み込まれるかのように、体が震える。何度も、何度も。
 お互いの収縮を決して逃さないように、ただ、快楽に身を委ねる。

 一緒に達してしまうこの気持ち良さを、充足感を、どう表現すればよいのかわからない。

 ザバザバと激しく揺れていた水面がやがて穏やかになる。荒い息が、少しずつ元に戻っていく。

「あかり」
「なぁ、に?」
「あと一回、布団でしたい」

 挿れたままおねだりされるとは思わなくて、くったりとしたまま苦笑する。

「まだイケそうなの?」
「あかりの顔を見ながらイキたい」

 朝も今も後ろからだったからなぁ、と納得する。律儀に正常位をしなくてもいいのに、先生は不思議だ。
 でも、私と出会ってようやく勃起不全が治ったなら、早漏の具合と回数の頻度も頷ける。覚えたて、なのだ。きっと、そういう状態なのだ。

「いいよ。ちょっと休憩してからね」
「体、洗ってあげるよ。汗かいたでしょ」
「だ、大丈夫、自分で洗えるよ」
「洗わせてよ。俺が洗いたいの」

 結局、お互いの体を洗い合って、髪を乾かしたり、膝枕をしたりしたあとで、また布団の中でセックスをした。
 二人で果てたあと、先生がただ一言で、その充足感に名前をつけてくれた。

「幸せだ……」

 そっか、これが、「幸せ」なのか。
 まどろみながら、先生と何度もキスをして、肌を抱きしめて、抱きしめ合って、思う。

 ……まだ、そんな気持ち、残っていたんだ。

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