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サキュバスちゃんの純情《長編》
第4章 過日の果実

「精液が不足した場合はどうなるのですか?」
「……あまり記憶がないのですが、どうやら見境なく男を口説いてしまうようです」
「餓死しそうになったことは?」
「何度か。戦争の前後は男の人がいなくて大変でした」
「……あなた、何年生きているんですか?」
「さあ?」

 考えたこともない。思い出すこともできない。それくらい、遠い昔の話だ。

「湯川以外のセックスフレンドは、あなたに他にも相手がいることを知っているのですか?」
「はい。伝えてあります」
「湯川より若い?」
「二十九歳と、二十歳ですね、確か」

 あまりよくは覚えていないけど。三十代は湯川先生だけだ。それだけは確かだ。

「あれ。一人減りました?」
「相手の結婚が決まったので、関係を解消しました」
「あぁ、不倫はしないんでしたね。ということは、今は三人?」
「はい」
「これから増やす?」
「その予定です」

 目星は全くついていないけど。まぁ、適当に。ひと夏だけの思い出、というのも悪くないし、都合もいい。
 でも、絶っっ対に水森さんだけは、ない。

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