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サキュバスちゃんの純情《長編》
第5章 恋よ来い

……ひと夏だけの精液を確保することを、本格的に考えなければならない。
さすがに中学生か高校生かわからない子に手を出すのはマズいので、ケントくんはダメだ。若いけど。絶対、満腹になるけど。ダメなものは、ダメ。……でも、つまみ食い程度なら……いやいや、だから、ダメだってば。
「あかり」
「ふぁい?」
「夏休みはあるの?」
見上げると、テキスト越しに翔吾くんと目が合う。テキストの背表紙には経営がどうとか書いてある。将来の社長には必須の学問なんだろう。
陰茎から口を離して、先走りと唾液に濡れた亀頭をチロチロと舐めてから、答える。ん、美味しい。
「山の日から十五日まで、五日間」
「何か予定はある?」
「何もないけど……?」
「じゃあ、長野に行こう」
長野は確か山のほうの別荘だ。翔吾くんからプレゼントされた服と水着を着る機会が、ようやくめぐってきたということだ。長野に海はないけど、川やプールはあるだろう。
「家族で過ごさないの?」
「俺、もう二十歳だよ? 親と過ごして喜ぶ歳じゃないよ」
そういうものなのか。「いいよ」と頷いて、亀頭を口に含む。翔吾くんのは、かさが小さめ。口に挿れやすい。
「来週は湘南にいるけど、来る?」
「んー、保留」
「じゃあ、来たくなったらおいで」
来週は花火大会。うまくいけば、ナンパくんを引っ掛けることができるだろう。
……花火大会で荒木さんとの仲が進展することを考えないあたり、日向さんとの勝負には負けているんだろうなぁと思う。情けない。
今週も日向さんのアピールは続いていた。たぶん、来週も続くだろう。再来週も。
淡白荒木さんは、肉食女子日向さんの手でもなかなか落ちない。難攻不落の城だ。そんな城を攻め落とすなんて私には無理そうだ、と諦めてしまっている。
明日のレアチーズケーキデートは、とりあえず様子見でいこうと思う。様子見、で。決して、がっついたりはしないでおこう。

