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サキュバスちゃんの純情《長編》
第5章 恋よ来い

「あかりは健吾のこと、どう思う?」
「どう、って?」
「抱かれたいと思う?」

 不思議だと思った。
 翔吾くんが怒っていないのだ。
 私に執着し始めているのではないかと思ったけど、目の前にライバルが現れても、「あかりは俺のセフレだから」と宣言したり、横恋慕を咎めたりしなかった。
 意外だった。相手が健吾くんだからだろうか? 冷静に、健吾くんの反応を見極めようとしていた気がする。

 健吾くんは金魚状態になってから、無言でものすごいスピードで料理を平らげて、すぐに部屋に引きこもってしまった。
 料理を食べてくれないよりは良かったけど、「まあまあ」以上の感想が引き出せなかったのは、悔しい。

 そんな健吾くんの行動を、翔吾くんは何も言わず、ただ見つめているだけだった。
 そして、何をどう考えたのか、「健吾に抱かれたいと思う?」と私に聞いてきた。

 私の答えは至ってシンプル。
 精液があるなら――欲しい。それがどんな相手であっても。

「私は別にどんな人が相手でも構わないよ? もちろん、健吾くんでも。翔吾くんは、どうなの?」
「俺かぁ……俺ねぇ……んー、正直に言うと、他の男にあかりは渡したくないんだけど、健吾ならいい、気がする」

 ほら、とても、意外な言葉が返ってきた。
 ベッドに座った翔吾くんの上に乗った私は、ゆっくり腰を動かして、少し萎えた翔吾くんの肉棒を刺激する。セックスの最中に他の男の話なんかするからだよ、もう。

「産まれたときから一緒だし、そもそも顔も一緒だし……健吾のことは誰よりも知っているから、あかりに乱暴なことはしないと安心できる。……うん、安心、が一番大きいかも」
「他の男の人と会っているときは不安?」
「そりゃ、そうだよ。酷いことされていないか、心配で、不安だよ」

 確かに、私のセフレがどんな人なのか、どんなプレイをするのか、翔吾くんは知らない。それは、湯川先生も相馬さんもそうだ。
 私は皆に心配させているのだろうか。……まぁ、相馬さんは絶対そんなこと思ってないだろうけど、湯川先生なら心配していそうだ。

「大丈夫だよ。皆いい人たちだから」
「だといいんだけど」

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