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サキュバスちゃんの純情《長編》
第5章 恋よ来い

 びくびくと震えるお互いの性器を一番敏感なところで感じながら、ゆっくり腰を振って、快感の波に身を任せる。

「んっ、ん……」
「……あかり、ごめん」
「うん?」
「キスマーク……見えるところに」

 ダメだって言われたのに自制できなかった、と翔吾くんはうなだれて、私の肩に顔を隠すようにして抱きついてくる。

「俺が一番、酷いね……」
「そうだねぇ」

 短い髪を撫でながら、苦笑する。そんなにヘコまなくてもいいのに。

「料理中に油が跳ねたことにするよ。絆創膏で隠せばいいし」

 翔吾くんは慌てたように顔を上げて、私に縋るような視線を向けてくる。泣き出しそうな瞳に私の顔が映ってよく見える。

「……怒って、ない?」
「怒って欲しいの?」
「いや……でも……別れられるより、怒ってくれたほうが、いいかも」

 体だけの関係は、「いつでも別れられる」から便利なのだけど、それゆえに、不安が生じるのだろう。「別れを切り出される」タイミングは、恋とは違い、唐突に訪れる。

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