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サキュバスちゃんの純情《長編》
第6章 花火と火花
『じゃあ、俺を選べよ』
あれから、なんて、優しい顔をするようになったの。なんて、優しい声で私にねだるの。
あのときとは、まるで別人のように、君は優しくなった。
「あかりさん、俺は」
頬に触れる指が、今度は冷たい。お酒が抜けかけているからか、体がカタカタ震えている。
「俺は、あんたが、欲しい」
冷たい親指が、私の唇に触れる。
「あんたの、体が欲しい」
茨の道を進むという覚悟は、してあるみたいだ。
私は心は許さない。だから「体」を欲するしかない。それはわかっているようだけど、翔吾くんでさえ苦しむ道に、健吾くんは耐えられる?
「あかりさん、俺を選んで」
「健吾く」
「選んで」
強い言葉に、今でも虚勢は、あるの?
ねぇ、健吾くん。
その言葉は、信じてもいいの?
「……兄弟、仲良くできる?」
「する。大丈夫」
「嫉妬しないでよ?」
「もちろん」
「本当に?」
「本当に!」
ならば。受け入れるしか、ないじゃないの。まったく、もう。