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サキュバスちゃんの純情《長編》
第6章 花火と火花
「あかりさん、俺を――っ!?」
触れた唇は冷たくて、柔らかくて、優しい。そして、少し酸っぱい。
「口くらい、ゆすいで欲しかったな」
「……す、み……ませ」
「やり直す?」
「は、はい」
「吐き気は?」
「だい、じょぶ」
目を丸くしている健吾くんを見下ろして、バカだなぁ、と笑う。キスだけで固まっていたら、このあとどうするの。どうしようもないんだけど。
「ファーストキスだけじゃなく、童貞ももらっていいの?」
「っはい!」
さて、もう、酔いは醒めた?
私は、覚悟を決めたよ。健吾くん、君を――抱いてあげる。
「浴衣を脱がすのはさすがにハードルが高いよねぇ……って、酷い。涙と鼻水でぐちゃぐちゃじゃん、浴衣」
「クリーニング代……いや、弁償します」
「代わりに着るもの、ある?」
「シャツ、とかなら」
「ちょっ、どこ触って――」
浴衣の上から胸を揉んで、健吾くんは不満そうに私を見上げてくる。そりゃ、期待するほど柔らかくはないよ。浴衣だもの。
「ちょっとコンビニで色々買ってくる」
「行かないで」
「じゃあ、女物の下着、買ってきてくれる?」
「……行ってらっしゃい」
下着だけでなく、洗顔・基礎化粧品セットも必要だ。今日は何も持ってきていない。小さな巾着しかないのだから。