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サキュバスちゃんの純情《長編》
第6章 花火と火花
「私が出かけている間に、シャワー浴びてて」
「はい」
「シャワー浴びながら抜かないように」
「……ダメ?」
「ダメ」
私の貴重なご飯を、無駄にしないで欲しい。持続力とか、本当に、気にしなくていいのに。
「じゃあ、鍵貸して」
「合鍵、持ってないのか?」
「合鍵は貰わないようにしてるの」
だって、いつ別れるかわからないから。
健吾くんの鍵を借りて外に出ようとすると、手首を掴まれる。
健吾くんはそればかりだなぁ。
「なに?」
「もう一回……したい」
切なそうな表情でそう言われると、応えなくちゃいけないでしょ。
むぎゅ、と抱き合って、触れるだけのキスをする。
「続きは帰ってからね」
名残惜しそうに私を見つめてくる健吾くんを振り切って、部屋の外へ出る。そして、スマートフォンで時間を確認して、泣きそうになった。
服屋、もう絶対、開いてない……!
明日の朝、さすがに浴衣で帰るのは恥ずかしい。朝帰りだってバレバレだもんなぁ。しまったなぁ。