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サキュバスちゃんの純情《長編》
第6章 花火と火花
ドン、ドンと遠方から聞こえる花火の音。クライマックスが近いのか、音は派手だ。
また明日、荒木さんに連絡しよう。お礼を言わなくちゃ。またスイーツデートに誘ってもいいかなぁ。
カラコロ音をさせながら、廊下を歩く。
……精液の確保には成功したけど、何だか、「試合に勝って勝負に負けた」気分だ。
健吾くんがあんなにストレートに想いをぶつけてくるなんて、本当に予想外だった。本当に驚いた。
しかも、たぶん、翔吾くんはこのことを知っている。じゃないと、健吾くんに私の連絡先が渡ることはありえないからだ。
健吾くんが翔吾くんのスマートフォンを解錠してまで連絡先を盗み取ったとも考えにくい。
翔吾くんが海に行ってから、一切近況報告がないのが、何よりの証拠。
試験中でさえ、毎日一言はあったのに、それがない。「弟を邪魔しないように」という配慮なら、本当に大バカだ。
翔吾くんは、それで、いいの?
『健吾ならいい』と言っていたのは、本心?
でも、翔吾くんに連絡はしない。できない。
もし本当に翔吾くんが知っているなら、彼にお膳立てされた関係、ということだ。
「……まさに穴兄弟……」
オヤジギャグにも程遠い下品な単語を呟いてから、健吾くんの射精時間を予想する。
……十秒、切れるかな。
翔吾くんは十六秒だったっけ。
もはや、何と戦っているのか、私にもわからなくなってきた。