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サキュバスちゃんの純情《長編》
第6章 花火と火花
「吐き気は?」
「大丈夫。酔いも醒めた……けど、あれは、酔った勢いで言ったんじゃないから」
「わかってるよ」
セフレになりたい、だなんて、酔っていても普通は言わない。
妹尾さんの先輩みたいに「付き合おう!」と軽く言うのが普通の酔っ払いだ。
「……髪、下ろしたの?」
「え? あぁ、浴衣も脱いじゃったしね」
「かわいかったのに」
えーと、この人、誰? 私の知っている健吾くんじゃないんだけど!
「浴衣もかわいかった。翔吾には見せた?」
「見せてないよ。この間買ったばかりだし」
「じゃあ、俺が最初?」
「そうなる、かなぁ」
最初、ではないけどね。セフレの中では最初かな。
見るからに上機嫌で、雑炊をパクパク食べる健吾くん。わかりやすいのはありがたいんだけど、一ヶ月で人ってこんなに変わるもの? ツンケンしていた面影は全くない。
「会社の人と見たんだよね、花火。どうだった?」
「綺麗だったよ。誰かさんのせいで、少ししか見られなかったけど」
「……ごめん」
「誰かさん」は健吾くんではないけど、誤解させておいてもいいだろう。我ながら酷い女だ。