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サキュバスちゃんの純情《長編》
第6章 花火と火花
「じゃあ、一緒に頑張ろうか?」
同じセリフを、健吾くんの先輩にも言ったんだよなぁ、私。懐かしい。
「ゆっくり、頑張ろう?」
その一言は、彼との関係の長期化を示すもの。何ヶ月、何年……健吾くんに、彼女ができるまでの、セックスフレンド。
「ありがとう、あかり」
唇に、首筋に、鎖骨に、胸に、唇を落としながら、健吾くんは笑う。切なげに。何かを求めるように。
「背中にもキスしたい」
彼が求めているものに、気づかないほど鈍感ではない。私が煽ったのだ。裸にしてみろ、と。
キスをして、くるりと反転した私の髪をそっとよけて、彼は、十年ぶりに、それにたどり着いた。
「……あかり」
「見つけた?」
左肩の下あたり、ほくろが一つ。
溺れた健吾くんを背負って、岸までたどり着いたのだ。彼が背中のほくろに気づいても、それだけ覚えていても、おかしくはない。
「あかり、俺……」
背中から私を抱きしめて、健吾くんはそっとほくろにキスをした。
「あかりに、ずっと、言いたかったことが……」
健吾くんの腕をぽんぽんと軽く叩いて、撫でる。
私、この腕を、掴んだんだよ。あのときはまだ細くて頼りなかったけど、もう、大丈夫だよね。