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サキュバスちゃんの純情《長編》
第6章 花火と火花

 シャラと翔吾くんからもらった三日月のストラップが揺れる。
 翔吾くんは、今、どんな顔をしているんだろう。叡心先生と同じ顔? 苦しい? つらい? それとも、違う?

 わからない。翔吾くんの気持ちが、わからない。

 私は本当に健吾くんと関係を持って良かったのだろうか。それは、翔吾くんの強がりではなかったのか。もしそうなら、私はどうすればいいのだろうか。
 でも、今さら、どうしようもないのかもしれない。セックスをした事実は消えない。私が「こういう」ものだと、翔吾くんが一番よく知っている。

「ちょっと、あかりさん!?」

 突然、トランクスにエプロンという衝撃的な格好をした健吾くんが、フライ返しを手に部屋に乗り込んできた。

「なっ、ななびょうって何!? 翔吾に話したのか!?」
「え、うん、マズかった?」
「俺、一生からかわれるぞ、これ!」

 どうやら、双子の兄から弟にメッセージが届いたらしい。それには、きっと七秒をからかう文面が書かれていたのだろう。焦って、怒るのも仕方ないけど、事実だ。
 健吾くんの童貞は七秒でいただきました。
 そんな真っ青なセフレにVサインを送り、肩を震わせて笑う。

「ラッキーセブンボーイ」
「ラッキーじゃねえ!」

 セブンボーイ? 私に童貞奪われておいて、「ラッキーじゃねえ」とは何事? めちゃくちゃ幸運だと思うけど?

「七秒くん、さっさとご飯作って。やること、いっぱいあるんだから」
「なっ……!」
「七秒くん」

 今度は真っ赤になった健吾くんの頬に軽くキスをして、いい匂いのするリビングへ向かう。匂いの正体はコンソメスープかな。
 そう。やることはたくさんあるのだ。
 まずは、精液を確保したあとに、私の服を一式買ってきてもらわなければ。さすがにTシャツ一枚で帰るわけにはいかないので、ね。

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