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サキュバスちゃんの純情《長編》
第7章 傷にキス
「月野さんですか? 自分が生活安全課巡査部長の小畑です。ご足労いただきまして、恐縮です」
「あ、いえ、こちらこそ、私の生徒がご迷惑をおかけしたようで申し訳ありませんでした」
ペコリと頭を下げると、ケントくんの笑い声が広い部屋に響く。
「コハちーん! あかりちゃんに惚れちゃダメだよー! あかりちゃんは僕の女なんだからー!」
「……酔って、いますか?」
「どうやら、そのようで」
そりゃ、補導もされるわ。納得だ。
小畑巡査部長は、経緯をかいつまんで説明してくれた。
花火大会のあと、巡回中に道端に座り込んで眠っているケントくんを見つけたこと。どうやら未成年なのにお酒を飲んで、酔いつぶれてしまったらしいこと。財布からお札が抜き取られていたこと。
そして、彼の両親は「バカンス」と称して故郷へ帰ってしまっていること。学校とは連絡がつかないので、家庭教師をしている月野あかりに連絡をしたこと。
「わかりました。引き受けます」
「では、書類を準備いたしますので」
そして、小畑さんが出してくれた書類を見て、愕然とする。
ケントくん……中学三年生!?
高校生だと思っていたら、中学生だったとは……これはますます……手が出せない。いや、出すつもりは全くなかったけど。
「……まさか、本当に彼の彼女さん、ではありませんよね?」
「まさか。いい大人ですから、危ない橋は渡りませんよ」
「良かった。彼はこれまでも何度か補導されているんですよ……淫行条例違反で」
なるほど。彼が自らを「オトナ」だと言ったのは、そういうことか。
誰かれ構わずラブホテルにでも連れ込んだのだろう。制服のままで。
呆れるほど、欲のタガが外れてしまっているらしい。